「俺、整形してるんだよね。」
「俺、整形してるんだよね。」


私は、突然のカミングアウトに戸惑う暇もなく、固まってしまった。

「整形って言っても、二重にしただけなんだけど。」


私たちは、恋人同士ではない。
数週間前に私が別れを告げられた。

私はまだ彼を忘れられなかった。
友達としてまた仲良くしたい、なんて体のいい口実を彼は受け入れて今日、こうして会ってくれているわけだ。

別に整形していたって構わない。
今の時代、整形なんて身近なものだし、それを他人がとやかく言う権利はないとも思う。

私は驚いて固まったのではない。
ただ、別れてから告げられたことがショックだった。

「そうなんだ。分からなかったよ。」
なんて、言葉とは裏腹に、そんなに信用がなかったのかと憤りが湧き上がるのを感じる。

「俺、顔でしか人を判断できなくなりそう。」
「次は、鼻をしようと思ってるんだ。」
「結局は顔だよね。そうだよね?」

あなたは私の顔しか見ていないと思ったの?
あなたを好きな私の気持ちは、見てくれていなかったの?
あなただから好きなのに、どうしてそんなに悲しいことを言うの。

伝えたいことはたくさんあるのに私は言えない。
ただ、彼の言葉を受け止めるだけで精一杯だった。

「俺は卑屈だから。」

彼の言葉は、私だけでなく彼自身までも蝕む言葉へと変わっていく。

そんなこと言わないで。
私が好きなあなたのことを悪く言わないで。
どうして自分を傷つけるようなことを言うの。

思っていることを伝えることの出来ないまま、2度目の別れを告げた。


付き合っていた頃、私達は1回も行為をしなかった。
彼は童貞だったけれど、私は割と経験がある方だった。
彼には、「全然経験ないよ」と伝えたけれど。

いざ、良い雰囲気になっても結局できなかった。
別れた後、彼から
「俺、オスになってる自分が嫌なんだよね」
と言われた。


今思えば、彼と私はなにもかも合わなかった。
付き合うべきではなかったのかもしれない。
こんなにお互い苦しむ関係なら、出会ったことも間違いに感じてしまう。

彼は、私に触れる時、目が優しくなる人だった。
声も少し低くて、電話した時は彼をそばに感じることができた。
彼の甘えてくるところが好きだった。
毎回バス停まで送ってくれるところも、バスが発車して彼の方を向くと手の指を綺麗に揃えて、手を振る彼が好きだった。


けれど、もう終わりにしないといけない。

このまま友達でいても、上辺だけの友達にしかなれないだろうから。
いつか彼に大切な人ができた時、きっとその人は見た目だけの人ではないから。
私と違って、彼を心から救ってくれる人だろうから。


彼がこれを見るかはわからないけれど、最後に言えなかった私の気持ちを記します。

私は大切な人ができました。
けれど、今でもあなたのことを思い出すと、胸が苦しくなります。

私の中途半端な理解があなたを傷つけてしまっていたらごめんなさい。
けれど、私達はどのような出会い方をしても、最後にあなたの隣にいる人は私ではなかったみたいです。

そして、あなたは素敵です。
自分をそんなに卑下するようなことは言わないで。
私はどんなあなたも好きでした。

お互いもう同じ道を歩むことはできないけれど、私はあなたの幸せを願っています。

もう、二度と逢うことがないように、お祈り申し上げます。
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