あの日と気持ちは変わらないのに、僕は君との終わりを考えてしまう。
僕がそのままにしたタオルを、彼女は怒りながら直す。

僕は毎日タオルを洗いたいし、2日に一回は洗濯したい。
でも彼女は毎日タオルを洗わないし、洗濯だって週に二、三回。
彼女の方が効率的だし合理的だ。

理由を聞いたら、学のない僕でもわかる理由を言ってくれる。

僕も言われたことは直そうと思っている。
でも二十何年の間で身についた習慣は、そう簡単には変えられない。


僕がシようというと、彼女は「いや、いいよ」とやんわり断る。

僕は誘うのですら緊張しているのに、君は少し疲れた顔で断る。
僕もごめんとしか言えない。
少し拗ねてしまうけど。

これが生活で、これが結婚。


僕が謝ると「もうごめんは聞き飽きた」と少し怒りながら、「行動してくれ」と言ってくる。
それにまた申し訳なくなって、僕は謝るしか出来ない。

僕はそうする彼女を理解しているし、その理由も納得している。
かといって無意味に謝っているわけではない。

慣れないものは大目にみてほしい気持ちもある。
しかしそこに気づかなかったことを反省しているから、彼女にごめんと謝るのだ。

これは誰が悪いとかではない。
お互いがお互いの育ってきた環境の違いを理解して、習慣やルーティンを尊重し合うことが大切だと僕は思っている。
でも、彼女は少し違うみたいで。

またそこで、少しこころに傷がつく。


僕は彼女に伝えようと毎度意気込む。

しかし彼女のやさしい声や笑った顔を見てしまうと、なんだか僕が直せばいいだけの話にしか思えなくなってしまって、何も言い出せない。


僕は彼女と結婚したいと思っている。
彼女もそう思っていてくれているらしい。

でも今は、付き合った当初の初々しく始めた同棲のような気持ちではいられない。


帰って彼女がいること、ふたりで作るご飯。
きっと僕たちのライフスタイルは大して変わることはない。

でも洗い物をしたあとに包丁を無防備に置くことや、卵を買い忘れること。
豆腐は絹派じゃなくて木綿派なこと。
週に二、三回の洗濯と。毎日は洗わないバスタオル。

その小さなストレスが、いつか彼女との間に生まれた溝を修復できなくなる原因になりやしないか。
僕はとっても不安だ。


僕はあの日ニトリで買ったタオルケットを、二枚じゃなくて一枚でいいと彼女に言った。
彼女は二枚でいいと言って、結局二枚購入していた。

僕はね、君とひとつを半分こにしたかったんだ。

暑い夏の夜にクーラーをつけた部屋で、足が冷えるねなんていいながら、君とくっついて寝たかったんだよ。


お湯を沸かすのは電気ケトルでもいいと思うし、ご飯を炊くのは土鍋じゃなくてガス釜がいい。炊飯ジャーでもいいと思う。
水道水じゃなくてミネラルウォーターが好きだし、同じアニメを繰り返し観たい。

でも君はそうじゃない。

そんな些細な違いがいつか僕と君を離れ離れにさせやしないかと、ずっと思っている。


僕は彼女のことを心から愛している。
一緒に幸せになりたいと思っている。

その気持ちは、付き合ったあの日からなんら変わっていないのに、
僕と彼女とで何が違ってきたのか分からぬまま、今日も僕は君を抱きしめて眠る。
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