可愛くて気が利く女であるために私は彼より先に起きる。
先に起きるのはいつも私だ。

今までの人と違っていびきをかかない綺麗な寝顔。
口角がきゅっと上がっているおかげで寝ている時もご機嫌そうなこの顔が大好きだった。

「すっぴんでもかわいいんだよな」と私の頬を楽しそうにつまむ彼。
眠る直前にすっぴんを見せれるぐらいの仲にはなった。

彼を起こさないように、静かにひとりお風呂に向かう。
ホテルのシャンプーは苦手で、ポーチからいつも使っているシャンプーを取り出す。
すっぴんは見せることができても、髪の毛が額に張り付いた情けない姿はまだ見せる勇気がない。

彼が起きるまでまだ1時間はある。だから浴槽に熱めのお湯を入れておく。
ぬるいお湯が好きなんだよねって言ってたよね、私もだよって答えたけど、あれ嘘だよ。


彼が起きないかひやひやしながらシャワーをして、恐る恐るドライヤーをする。
静かに髪を整えて、静かにメイクをする。
あなたが起きた時、隣にいる女の子が少しでも可愛い女の子であるために。

規則正しい寝息を立てている大好きな寝顔の横に、こっそりと戻る私はもう昨日の私じゃない。
体に残ったどろどろを綺麗さっぱり流して、実は昨日と違うリップをつけた今日の私だ。


あと1時間後。
まだ寝ぼけた彼は目を擦りながらまた適当に私の顔を見て「化粧したの、可愛いね」と呟く。
今日の私は、また昨日のままの彼に抱かれるんだろう。

私は彼の恋人ではない。いつも行くホテル、月に3回。多くて5回。

お互いがお互いを気に入っている。だけど"お気に入り"の枠から出ることはない。
きっと私は彼が好きなんだと思う。
だけど気づかれないように、それでも可愛くて気が利く女である為に、私は彼より必ず先に起きる。


気持ちよさそうに伸びをする彼を私は早起きして喜ばせたいのだ。

「ぬるいお湯溜まってるよ」
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