正直ヤラなくても、私は十分幸せだった。
正直セックスなんてしなくても、私は十分幸せだった。
人にされるより自分でするほうが気持ちが良かったし、恋愛経験が少なかった私にとっては「痛い行為」という印象しかなかった。


大学一年の夏に付き合い始めたその人もかなりの恋愛ベタで、私は彼にとって初めての彼女だった。
告白の仕方も、容姿も性格も、私の好みではなかった。
けれど大学生活にも慣れてきて刺激を求めていた私は、彼氏持ちのステータスが欲しくてOKした。

背が高くてクールな顔立ちのくせに甘えん坊で泣き虫で、私のあとを小走りで着いてくるような人。でもすごく頑張り屋で、一生懸命愛情表現をしてくれるところが愛しかった。

最初こそぎこちなかったものの、手を繋ぎ、ハグをして、キスをした。
互いの身体を触り合う頃には、周りからも呆れられるくらい仲の良いカップルになった。


だけどどうしても、最後までは出来なかった。私が怖がったから。
彼は必死で私と一つになろうとしていた。私はそれを嫌がった。
ただ触れ合うだけで十分幸せなのに、なぜわざわざ痛い思いをしなければいけないのかわからなかった。

彼はいつも少し寂しそうで、焦ったような顔をしながらも「いいよ」と私を抱きしめてくれた。
私はいつもその言葉に甘えて、彼のぎこちない手で気持ちよくしてもらってから眠った。

今思えば、与えられてばかりだった。食べ物も、コスメも服も、時間も。
彼が私を愛しているという事実に胡座をかいて、私が好きならこうして、と押しつけていた。



そんな関係がいつまでも続くわけもない。
付き合い始めて1年半が過ぎた頃、彼は私に「別れたい」と泣きながら告げた。
暗い部屋で私たちは向かい合っていた。
窓の外は、バケツをひっくりかえしたような雨が降っていた。

やっぱりこうなったなとやけに冷静な自分がいた。
でも私は、彼以上に泣いて縋った。
彼がいない毎日など考えられなかった。もう完全に、彼は私の全てだった。
知らないうちに私のほうが依存していたのだ。

彼はそんな私を見て「もう少し考えてみる」と小さく言った。
そして私を押し倒して、いつもより乱暴な手つきで私に触れた。
その時でさえ、私たちは最後までしなかった。


結局、その後まもなくして私たちは別れた。
あんなに愛し合っていたのが夢だったかのように、大学内でも話をしなくなり、すれ違っても挨拶すらしなくなった。
そして、人伝てに彼に彼女が出来たことを知った。

私が言える立場ではないけど、あまり可愛くない子だった。
でも、笑顔の素敵な優しそうな子だった。


それからしばらくして、私にも新しい恋人ができた。
同じ大学の同級生で、元彼とは似ても似つかない人だった。
背は私と同じくらいで、色が白くて可愛らしい顔立ち。
恋愛経験もそこそこあってちゃんとリードしてくれる明るい人。

私はその人に流されるまま、最後までセックスをした。

元彼と違って慣れた手つきだった。
痛かったのはほんの一瞬で、あとは気持ち良さと泣きたくなるくらいの幸せに溺れた。
ゆっくりとした動きから相手の優しさが伝わってきて、愛しさが込み上げた。

その時ようやく、セックスの本当の意味を知った。
なぜ元彼が私と最後までしたがっていたのか、分かったような気がする。

もしあの時、痛くても怖くても最後までしていたら。私の上で動く彼氏を眺めながらそんなことを考えたりした。


元彼と別れて一年ほどが過ぎた今も、新しい彼氏とは仲良くやっている。
週に3回はセックスをする。その度に私は幸せな気持ちになる。
人生で一番今が幸せだと胸を張って言える。

それなのになぜか、たまに元彼のことを思い出して、少しだけ涙が出ることがある。
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