本当は美人な彼女がいた彼。可愛いなんて微塵も思われていなかった私。
⚠この純猥談は浮気表現を含みます。
ロマンスとは無縁だった。

目立つ容姿を持ち、周りからもてはやされる姉や妹と正反対だった私。
家族やクラスメイトからの心ない言葉は、少しずつ私の心に降り積もっていった。

高校生の頃、向かいから歩いてきた3人組の男子高校生に指を差されながら似ていると言われたのは、当時見た目をいじられることで笑いをとっていた男性芸人だった。

その頃にはすでに一人で生きていく覚悟をしていた私は、
勉強だけに打ち込んでそれなりに高収入が見込めそうな進路に進んだ。


20歳の大学生になった私は友人が勤めていたバーが気に入り、その日も一人でカクテルを飲んでいた。
友人は非番だったその日に、客として来ていたあの人に出会った。

誰とでも仲良くなれそうなほど社交性の高い、年上の彼。
初対面で話し下手の私ともすぐに打ち解けた。

「いずみちゃん、めっちゃ可愛いなあ」と言いながら、彼はクシャっと笑った。
生まれて初めて可愛いと言われた。

姉や妹が毎日のように言われていた言葉、
言われ慣れすぎてもううんざりというような顔を隣で見ていた私。

こんなに嬉しいんだ。
可愛い、そう言われた。
その言葉を疑えるものを私は何も持っていなかった。

その一言を私は鵜呑みにした。

経験がなかった私は、知ったかぶりをしながら抱かれた。
一生縁のないことだと思っていたから、最中は本当に信じられない気持ちでいっぱいだったし、これが幸せなんだと本気で思った。

それから私たちは、月に何度かのペースで会うようになった。
会う時は必ず身体を求められたけど、そういうものだと思っていた。
会える時間が短くても、そういうものだと思っていた。

行為の最中は、顔を枕で隠しながら彼の顔を盗み見た。
彼の顔は見たかったけれど、私はやっぱり自分の容姿に自信がなかったから、ひどい顔を見せてはいけないと思って、いつも顔を隠していた。

最中に彼と目が合ったことは一度もなかった。

そんな関係が続いて数ヶ月後、再び一人でバーに行った。
あの人とのことを友人に話すと、彼女は眉をしかめた。

「あの人、彼女いるよ」

見せてもらった画面に写っていたのは、スタイルが抜群で誰が見ても美人と言えるような顔立ちをした女性だった。

彼は以前、最中には身体を見るよりも、顔を見る方が興奮すると話したことがあった。
好きな女性が自分に酔いしれている顔が何よりも好きなんだ、と。

私はずっと顔を隠しているのに。
顔を見せてなんて言われたことは一度もないのに。
そう思ったけれど、私は最初に言われた「可愛い」その一言にすがりついていた。

この時には身も心も全て彼に奪われていた。

本当は可愛い美人な彼女がいたことに、私のことはこれっぽちも好きではなかったことに、可愛いなんて微塵も思われていなかったことに人生で一番泣いた。
そして、彼との関係を断った。

あれから10年経って、好きな仕事をし、休みの日には一人で旅行へ行き、こうしてたまにあの日々のことを思い出す。

数少ない友人は全員結婚して温かい家庭を築いているのに対して、いまだに偽りの可愛いを反芻する私を哀れだなんて思わないで欲しい。

私が生涯で愛したのはあの人だけなんだから。
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