減っていく行為の頻度はふたりの終わりのカウントダウン
もう何度「別れよう」を言い出すために自分を奮い立たせたか分からない。

今日だって、寂しさに負けて「泊まりたい」と言ったのを「ES書きたいから」と断られた。振られたような気持ちで散々に泣いて、これを機にお別れしようと決めたはずなのに。

数時間後には「やっぱ今日ES書かない。うち来ていいよ」なんて自分勝手なLINE。
それでも私の心は喜ばないはずがなくて、会ったらすべてがうやむやになってしまう。


恋愛において尽くしすぎてしまう女は幸せになれない。
誰もが知っている恋愛の常識なはずなのに、私は一度もその常識に従えたことがない。

今回の彼氏も例に漏れず、毎日のように彼の家に私が足を運び、ふたり分の家事を済ませ、思いつく限りのことは全て与えていたら、気がつくと出会った頃の彼はどこかに行ってしまった。

露骨に冷たい態度が苦しくて、振られる前に私から別れを告げるべきと考えつつ、どうしてもその一言が言い出せない。


お風呂に入り、ベッドで動画を見ている彼の横に寝転がった。
電気を消す。彼の体温を感じて、緊張する。

付き合いたての頃は週に何回も身体を重ねていたのに、最近は月に一度あるかないか。

行為を求めて彼の首元に顔を寄せたり、お腹を撫でてそれとなく誘っても、無視されて絶望する夜も数えきれない。

私がバイトで帰りが夜遅かったから、彼が就活で疲れているから、私が太ってしまったから。考えられる理由は色々ある。
だけどひとつ確実に言えるのは、減っていく行為の頻度は間違いなくふたりの関係の終わりのカウントダウンだと言うことだ。


会うのは1週間ぶりで、もう1ヶ月以上抱き合っていない。
だけど、今夜も期待してはいけない。期待したら傷ついてしまう。

それでもさすがに彼も人肌恋しくなったのだろうか。

キスを求めた私の口に、彼は自分から舌を差し込んできた。
自分からディープキスをしてくるのは、彼の性交の同意だ。

いつもの手順、いつもの触り方。
だけど少し上の空で、手つきも雑で時間も短いような気がしてしまって、心臓が裂けそうだった。

彼が私の上に乗る。
挿入しながらわたしに覆いかぶさってキスをする。

こうやって口づけを落としてくれる彼に、私を好きな気持ちはどれだけ残っているのだろう。
半分醒めた気持ちで、私は永遠に終わってほしくない振動に身を委ねる。


「首、絞めて。顔叩いてよ」

彼が果てそうになっているのを見て私はそう懇願した。
いつもいつも彼がするせいですっかり私の興奮材料になってしまった行為だ。

彼は苦笑いして、私の首に手を伸ばした。

「顔、叩いてくれないの」

彼は少し考えたあと

「今日は首だけね」

と言って笑った。


もう好きでもない相手とは、互いがどろどろに溶けるような酷いこと、する気になれないのかな。

彼の行為が少し優しくなったことで、私はまた終わりが近いことを知ってしまうのだ。


もしかしてこれは、ふたりの最後の行為なのかもしれない。


終わってすぐに背を向けて眠ってしまう彼の髪に手を伸ばし、そのあたたかさをやはり好きだと思ってしまう自分がたまらなく悔しくて、私も彼に背を向けて、眠った。
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